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Una cadena~連鎖する双つのココロ~○第十一話○
2009年 03月 14日 (土) 16:48 | 編集
やっとパソコンが復活しました。
なんかね、USBさす所がぶっ壊れてたみたいです。4つさすところあるのに半分しか使えません泣

もう、本当遅くなってすみませんでした・・・orz

ってなわけで十一話。

十話はsino*のsugarless sodaから。
続きはチヒロのbravo the worldから。

いやもう本当・・・。遅くなって申しわけありませんでした・・・(土下座)
殴ってください泣





どこかのありふれた物語。
勇者は仲間を引き連れて魔王を倒す旅にでる。
その途中にはイベントが盛りだくさんで、勇者一行は力を合わせたり、何だかよく分からないけどヒントを与えてくれるゲストの力をかりたりして苦難を乗り越える。

そして魔王の住む城にたどり着いて、女王を助けてハッピーエンドだ。


昔やった様な、RPGのゲームの物語。


ゲームだったら僕は一人じゃないし、誰かが助けてくれるだろうし、第一冒険に出るという一種の高揚感があるはずだ。
だがここは現実。神様は優しくない。
そもそもここには魔王も女王も存在しないじゃないか。
しちゃいけないだろ。



浅葱は玄関での少女の声に誘われるまま建物の中に入ったが、中には少女の姿はなかった。
それどころか、人の姿が一切なかった。
扉を開けた途端に見えた、下へと通じる長い階段。
人為的なコンクリートが作り出す孤独感と恐怖。
階段の終わりに在る白い扉。

ドクン、と、浅葱は自分の心臓が鳴る音を聞いた。

なんだ、ここは。

なんだか、すごく、嫌だ―――・・・。


階段の先の扉を見下ろすと、浅葱の頬から冷や汗が流れた。
今の今までとはまったく別物の恐怖が、浅葱の心を占めはじめた。
さっきまでは父親が殺された恐怖、追われるのではないかという恐怖、そして自分の身に何が降りかかるのかという恐怖だったのだ。
だが今は。

「・・・・・・なんだよ、ここ―――・・・っ」

自分でも理解しがたい恐怖。本質の解からない恐怖が浅葱の身体をのた打ち回った。
身体の奥底で嫌な音で警報が鳴っている。
自分の本能が、この場所に恐怖を感じているのだ。

何故こんな無機質な場所に恐怖を感じているのか、まったくわからない。
わからないこともまた、恐怖となって浅葱を飲み込んだ。


「・・・ここに一体、何があるっていうんだよ、母さん・・・」

母さんがここに来いと言ったから。
母さんが待っていると言ったから。
僕を、助けてくれると思ったから・・・。

いろいろな要素が限界を超え、浅葱は床に座り込んだ。
すると、学生鞄がもぞもぞと動いた。
「にー」
アジルの声が聞こえたのだ。

はっとして鞄のチャックを開けると、その隙間からアジルが顔を出した。
「・・・・・・アジル」
「にー」
短く鳴いたアジルの青い瞳が、浅葱に語りかけているように光った。
『止まらないで』、と。

「・・・アジル」
アジルの頭を撫でて、浅葱は立ち上がり、再度階段の先の扉を見据えた。

真っ白な扉の先に、何があるのか。
わからない。
母が自分を助けてくれるのか。
あの声の少女は救ってくれるのか。
何もわからない。

でも、自分には今この道しかないのだ。進むしかないのだ。
一歩、階段を降りた。
一歩ずつ、ゆっくりと降りていった。
一段一段降りるごとに、まるで今まで生きてきた世界から遠ざかっているように感じたが、浅葱は止まらなかった。
視線の先には、白い扉しか見えていない。
止まっちゃ、いけない。

十数段目を降りたところで、ようやく白い扉が目の前に来た。心臓がドクドクと脈を打っている。それを抑えようと、浅葱は大きく深呼吸した。
温度を感じさせない真っ白な扉。
取っ手は無かった。
「・・・あれ?」
見たところ引き戸とかそういった部類の扉ではない。少し押してみても、扉はビクともしなかった。
「・・・・・・せっかく決心したのに、止まらざるを得ないじゃないか…」
どうしようと途方にくれて振り返れば、先程まで自分がいた場所が見えた。
わずか数メートル下方にあるだけなのに、ここがまったくの別世界のようだった。
もう、この階段を上れないような気がした。
再び胸を締付けられる思いがして、浅葱は唇を噛んだ。
止まらないためには、この扉を開けるしかない。
どうすれば―――・・・
「・・・ん?何だこの溝」
扉の右中央部分に、縦に横切るような溝があった。溝のスタート地点には、白い箱のようなものが取り付けてあった。
「何に使うんだこれ・・・。・・・・・・あ」
急に思い立った浅葱は鞄を下に下ろした。アジルが鞄の外へと出た。
なくさない様に内ポケットに入れたものを取り出した。

青色のカード。

母が持っていけといった三つのうちの一つだった。
浅葱はそのカードを溝に差し込んだ。そして素早く縦にスライドさせる。



ピピッ


機械音がしたかと思うと、白い箱がわずかに青色に染まった。そこから玄関で聞いた機械的な女性の声がした。

『未明浅葱。確認しました』
『今から30秒以内に扉を開けてください』



「・・・・・・入れる・・・」
浅葱は高鳴る心臓の鼓動と緊張感と格闘しながら、扉を押し開けた。


開けた途端目に入ったのは、地下とは思えないほどのまぶしい光だった。
白い空間が広がっている。玄関と称するには少し広い部屋。
その中央には上へと下へと伸びた複数の螺旋階段が陣取り、奥には扉がまたいくつかあった。


驚きを隠せないまま、浅葱は中へと足を踏み入れた。
適度な段差があり、近くの靴箱のようなところを見れば、ここで靴を脱ぐようだった。

「・・・・・・真っ白だ」
白い空間の中に一人、浅葱は立った。
ここでまたどうするべきかも解からず、ただ立っている。
だが、先程まであった恐怖が、嘘のように消えていた。
灰色の階段とは比べ物にならない空気の純度の空間に、浅葱は不思議と安心を感じていた。
嗚呼、この空気・・・。
どこか、懐かしい―――・・・。



と。


とんとんとんとん、と螺旋階段を駆け下りる音がしてきた。
靴にしては鋭さの欠けた音。時折ペタンと音がしている。
浅葱は螺旋階段の方に目を向けた。
誰が降りてくるかわからないこの状況を、浅葱は待った。


階段が通じる吹き抜けから、女性の姿が現れた。


細身の身体に白衣を着て、長い足にはワインレッドのニーハイソックスと黒いスリッパ。
美しい茶色の髪をポニーテールにまとめている。

女性が浅葱の方を見た瞬間、浅葱の脳裏にある女性が浮かんだ。

昔、父が見せてくれた写真に写っていた、赤い瞳。

まったく同じ眼が、眼鏡の奥から浅葱を見つめていた。


心臓が、今までとは別の意味を持って大きく跳ねた。
「・・・・・・・・・かあ、・・・さん・・・」


女性の顔に笑みが浮かんだ。
そして、電話で聞いた声そのままで。
「・・・浅葱!!!」
浅葱の名を呼び、残り数段を終えて走り寄ってきたのだ。


女性は浅葱を細い腕で包み込み、力強く抱きしめた。
暖かな優しさは、浅葱の幼子の記憶を思い起こさせた。

「ごめんなさい、浅葱・・・。でも、本当に無事でよかった・・・!」

一層強く、だけれども優しく抱きしめられる浅葱は、ただ呆然としていたが、直に胸に何かがこみ上げてきた。

階段での恐怖を、地上での恐怖を一掃するかのごとく熱い想いが、浅葱の胸を満たした。



「・・・・・・母さん」


浅葱もまた、母親の愛に応えて抱きしめた。
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